20190226#2
この頃、彼が出会う人はことごとく初心者であった。
朝、ダイナーでハンバーガーを注文しても、料理が出てくるまでには時間があった。
昼、レストランで決済をする際、ウェイトレスが機械の操作に戸惑っていた。
夜、バーに入り酒を注文すると、若い男は奥へ引っ込み、しばらく待った末、結局その酒は置いていなかった。
彼はその度に、そういった状況にどう反応すべきか慎重に検討し、全ての状況に対して寛大でいることを決めた。
なぜなら彼自身も、まだまだ人生の初心者であるからだ。
ここで不機嫌になれば、その同じだけの不機嫌が、自分にも降り掛かってくるような気がした。