ピュレグミおじさんの備忘録

おじさんの赤裸々日記です

2019-01-01から1年間の記事一覧

20190323#2

彼がハンナリ族の支配地域に行ったのには理由があった。 彼は彼の願いが叶えられる徴を察知し、それを実現するために行動をした。 そしてそれは、現実のものとなった。 しかし彼は多くのことを学ぶこととなる。 第一に、願いが叶ったとはいえ、それが即ち幸…

20190323#1

彼はその日、ハンナリ族の支配地域に居た。 エスカレーターで立つ側は、彼の民族とハンナリ族とで共通していて、彼は本能的にハンナリ族が同じ文化圏に属しているのだと悟った。 彼の中で、ハンナリ族との友好を実現する可能性が開いた。 しかしその後入った…

20190320#1

彼の労働現場には、かつての彼の宿敵の女がいた。 遥か昔、その現場には冷戦が展開していた。 ある日突然、女の支配地域に、彼という新興勢力が現れた。 女は権力の危機を肌で察した。 即座に女はイミューンシステムに戒厳令を発した。 彼は構わずヘッドクォ…

20190319#2

雑居ビルのガラス戸を開けると、彼はブラジルの地に立っていた。 南の国の空気が彼の肺に溶け込んでいった。 そこは、リオデジャネイロもサンパウロも、トーキョーもモスクワもないような、特別なブラジルだった。 デジタルサンバに身体は揺れ、酒と唐辛子の…

20190319#1

そして彼は、クライムバスターズと呼ばれるパワフルなチームの目の前で、煙草を吹かしていた。 しかし、当たり前のことだが、クライムバスターズは彼のことをちらりと見るような真似すらしなかった。 ひとつは彼がクライムバスターズの視界の盲点に位置して…

20190305#2

帰りの電車で、彼は影の人々との出会いについて考えていた。 影の人々は彼の連絡先を聞き、「女を紹介してやるから飯でもどうだ」と言った。 彼は影の人々の女のことを、密かに魅力的だと思ったことが幾度かある。 そして彼はふと、思い出した。 彼が世界に…

20190305#1

前日に鑑賞した映画の影響で、その日、彼は影の色をした異国の友人が欲しいと願っていた。 帰り道、彼が中央公園の噴水の横で瞑想をはじめると、何やら早口で呪文を詠唱しているような声がしたので、目を開けると、影の色をした人々が座り込んで話していた。…

20190303#4

「おい、戻ってくるんだ」 故郷の山にある祠を目指して門をくぐると、人の声がした。 彼はしばしの間立ち止まったが、しかし、そこに何があるのか、彼自身の目で確かめずにはいられなかった。 彼は歩き続けた。 途中、道が分かれていて、どちらへ行けばよい…

20190303#3

彼は針の苦しみを耐え、その背中に証を得た。 その後彼が家を出ると、伝道者が二人、彼のもとに遣わされた。 伝道者は彼の証を見て、その信仰の深さに感心し、「あなたの世界に光のあらんことを」と言い、去っていった。 そうして彼は理解した。 彼の精神は…

20190303#2

目指していた街へ着くと、彼はまず最初に神殿へと歩を進めた。 こころがざわついた時、その神殿はいつも彼のこころを整えてくれた。 彼が可能な限りの所持金をそこで清め、目を閉じ、感謝の念で心を満たしたその時、彼の目の前で短く鐘の音が鳴った。 彼は驚…

20190303#1

彼は前日の仕事の出来の悪さや、それがきっかけとなって彼の内的世界に生じていた、彼の周囲に働いているあらゆる歯車の噛み合わせの悪さに、久方ぶりに居心地の悪い思いをしていた。 その日もまた、一日の始まりから、およそ全ての出来事がズレていた。 何…

20190301#2

彼は一人、深夜の湖畔で煙を吹かしながら、自分に言い聞かせた。 「良いも悪いも本当は無いもの。無いものに判断を与えるのは内なる声。それは聖霊のささやき」 そうして彼は短い瞑想に入った。 彼の主観の世界には、静寂以外の性質は存在しなかった。 その…

20190301#1

「求めれば、与えられる。しかし何故、与えられないのだろう」その時彼は考えていた。 そしてすぐに、一つの簡単な答えに達した。 彼は実は、求めてはいなかったのである。 その理由もまた、恐れであった。 恥をかくかもしれないという、架空の恐れである。 …

20190228#1

昨日、彼は機会を逃してしまった。 彼らしくもない、それが機会だと理解した上で、怖気づいてしまったのである。 彼は恥じた、そして、誓った。 「もう機会は逃さぬ、見つけたら、這ってでも掴んでやる」 すると彼の願いは届けられ、昨日の代替的な機会が、…

20190226#3

彼は一仕事を終え、休む間もなく次の仕事のために道路を歩いていた。 突如、目の前に光が差して、声が聞こえた。 「決断をなさいなさい、泥をかぶってもチャンスを掴むのか、汚れるのを厭い、今のままでいるのか」 彼はしばらく迷った末、泥をかぶることに決…

20190226#2

この頃、彼が出会う人はことごとく初心者であった。 朝、ダイナーでハンバーガーを注文しても、料理が出てくるまでには時間があった。 昼、レストランで決済をする際、ウェイトレスが機械の操作に戸惑っていた。 夜、バーに入り酒を注文すると、若い男は奥へ…

20190226#1

彼はこの日の朝、美容室の椅子に座って、散髪を終えたばかりの自身の姿を見た。 鏡の中の彼は、普段と少し雰囲気が違って見えた。 それはまるで、大いなる成功を築き上げた男の顔つきをしていた。 それを眺めながら彼は、再び、あの例の確信を抱いた。 鏡の…