20190303#4
「おい、戻ってくるんだ」
故郷の山にある祠を目指して門をくぐると、人の声がした。
彼はしばしの間立ち止まったが、しかし、そこに何があるのか、彼自身の目で確かめずにはいられなかった。
彼は歩き続けた。
途中、道が分かれていて、どちらへ行けばよいのか迷ったが、進んでみると、結局どちらの道も同じ場所へと繋がっていた。
しかし、その過程で経験することは異なっていた。
祠に辿り着くと、彼は深い瞑想状態に入り、その内側に、大蛇を吸い込んだ。
帰り道、彼は蛇の如く道を進んだ。
一瞬、悪寒が彼の全身を支配したが、それは彼の武者震いであった。